愛媛大学 社会共創学部 環境デザイン学科

学科概要ABOUT

自然環境と社会環境の総合的デザインを実践的に学ぶ

自然科学と社会科学の両方を含んだ文理融合教育の下、自然環境や社会環境の総合的デザインに関わる実践的な知識や技術に基づいて、地域社会が抱える危機を捉え、 人と自然が共生する持続可能な地域社会を共に築き上げる人材を育成します。

学科長挨拶

羽鳥剛史(専門:土木計画学、合意形成論)

学問の専門性を越えて持続可能な地域社会の未来を切り拓く

学科長/羽鳥剛史(専門:土木計画学、合意形成論)

私たちの社会は、本格的な人口減少時代を迎える中、地球環境問題や巨大災害の勃発をはじめ、その持続性を根底から覆しかねない危機に直面しています。こうした危機の時代にあって、人間と環境の共生のあり方、地域社会のあり方、さらには科学技術のあり方といった根本的な問題が改めて問われています。環境デザイン学科では、自然科学と社会科学の両方を含んだ文理横断的な教育の下、幅広い視点から、人と自然が共生する持続可能な地域社会のあり方を問い直し、その実現に向けた諸問題の解決に地域協働で取り組みます。それは、地域の現場に身を置き、地域ステークホルダーと一緒になって、従来の専門分野だけでは解決し得なかった問題に果敢に挑む新たなチャレンジです。皆さんぜひ本学科でこの“知的冒険”に一緒に取り組み、持続可能な未来社会と地球環境の創造を目指しましょう!

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本学科で学べる事

  • 環境サステナビリティコース

    本コースでは、自然環境と社会との望ましい関係性を構想できる感性を身に付け、その実現のために必要な調査・計画・管理に関わる知識と技能を修得します。具体的には、自然環境に関わる各種専門分野の知識・技能の横断的・実践的な学修を通じて、様々な観点から自然環境と社会との関係性を考察できる多面的な探求力、多様な関係性の中から重要な課題を発見できる課題発見力、その解決に向けた道筋をデザインできる構想力、そして、その道筋を地域社会の文脈に即して活かすことのできる実践力を身に付けます。

    環境サステナビリティコース
  • 地域デザイン・防災コース

    愛媛県では、南海トラフ地震をはじめとする巨大災害の勃発や環境問題の深刻化が懸念される一方で、グローバリゼーションや少子高齢化に伴う地域コミュニティの衰退が危惧されており、地域社会がいかにして活力ある形で存続できるか問われています。
    本コースでは、まちづくりや地域防災の現場実務に学生自らが参画し、そこでの活動を通じて実践的な知と技能を養う実践的教育を推進します。それとともに、関連する社会科学諸分野の専門教育を通じて、地域社会が抱える諸問題の総合的な解決に資するデザイン能力と政策マネジメント能力を身に付けます。

    地域デザイン・防災コース

授業紹介

  • 地域デザイン論松村暢彦

    • 1年次
    • 専門力育成科目群

    地域デザインとは「地域をデザインする」といったように地域を対象として捉えるだけではなく、地域のために、地域(の人々)によって、地域の問題を解決し、より豊かな暮らしを実現していく営みを意味します。長年にわたって、地域の問題を地域の人々が協力し合って、創造的に解決していくプロセスはまさに地域デザインのあるべき形といえます。 また、過去から現在までの時間的変化から地域を読み解く能力を磨いていくことで、将来の地域を広域的に計画していくための視点を学んでいきます。

  • 環境デザイン論松村暢彦、榊原正幸、入江賀子、片岡由香

    • 2年次
    • 専門力育成科目群

    私たちの暮らしは、自然環境と社会基盤という大きく分けて2つの環境に向き合い、支えられています。また、人々の生活や暮らしの目に見えるハード面だけでなく、そこでの暮らしに必要となる活動も支えています。豊かで安全、安心、快適な持続可能な地域社会を実現するためには、人間自身の認識と共に、制度や規範等を通じて、自然環境を持続的に保全、活用し、社会基盤を適切に整備、運用していかなければなりません。この授業では、持続可能な社会を実現するために、地域社会の課題とその解決方法を理解することを目的としています。

  • 環境経済学入江賀子

    • 3年次
    • 専門力育成科目群

    環境プロジェクトや環境政策のデザインには様々な内容がありますが、どのようなデザインが社会にとって良いでしょうか。社会全体の便益が大きい、あるいは費用が少ないデザインを良いものとする考え方が、経済学の「費用便益分析」の考え方です。この授業では、そのような「費用便益分析」の内容について、概ね理解できるようになることを目標としています。このため、環境プロジェクトや環境政策の便益や費用についての基礎理論を学び、これらの知識をもとに、「費用便益分析」の仕組みを理解していきます。

  • 海外フィールド実習(ネパール)バンダリ・ネトラ・プラカシュ、羽鳥剛史

    • 3年次
    • 専門力育成科目群

    この授業では、ネパールの大学生と協働でフィールド実習に取り組むことによって、国際コミュニケーション能力・国際性・課題解決能力などを身に付けることを目的としています。現地では、トリブバン大学等の学生との混合グループでフィールド実習に取り組み、ネパールに関連する研究素材(社会、経済、工学、技術、自然科学、自然環境・災害、地域文化、教育など)に関して、自ら課題を発見し、解決の方向性を探求していきます。また、地域のステークホルダーと対話し、問題解決のためのトランスディシプリナリー・アプローチの実践を学びます。

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主な研究テーマ

  • ツル類の越冬地定着に向けた地域内連携
  • 集落跡地の利活用に関する研究
  • 自然再生事業における自然ふれあい調査の可能性
  • 耕作放棄地保全・利用方法に関する市民の選好の分析
  • まちなか広場における対人コミュニケーションに関する研究
  • 地域性を中核にした災害レジリエンス研究
  • 持続可能な未来のための地域社会の転換メカニズムの研究
  • 衣類リサイクルにおける持続可能な仕組みの考察
  • 伊方町亀ケ池の環境修復
  • 災害シミュレータを用いた地域防災力に関する研究
  • 作物エネルギーの利用可能性に関する研究
  • ファイトレメディエーションを用いた環境浄化

在学生からのメッセージ

環境サステナビリティコース/西村 咲輝

防災や災害を「持続可能性」から考える

環境サステナビリティコース/西村 咲輝2016年度入学/高松西高等学校 出身[香川]

 私は両親が阪神・淡路大震災を経験しており、小さいころからその話を耳にしていたので、高校生の頃には漠然と防災や災害について興味を抱くようになっていました。そこで、大学では防災や災害について深く学びたいと思い、地域デザイン・防災コースのある環境デザイン学科に進学しました。入学後に驚いたことは、環境デザインという学問の幅広さと奥深さです。一般的に環境というと、自然環境が思い浮かびますが、環境デザインにおける「環境」は私たちの周囲を取り巻くすべてのものやしくみを含むとても広い概念です。そのため、環境デザイン学科では、自然環境だけではなく、都市的な環境やこれらを支えるしくみなど、環境にかかわる事柄を横断的に学びます。また、環境を学ぶとなると理工系分野を想定しがちですが、環境デザイン学科は文理融合の教育なので、文系出身の私でも全く問題ありません。私は講義を受ける中で環境デザインの視点の1つである「持続可能性」に興味を持ったので、進学時の志望とは異なる環境サステナビリティコースを専攻しています。今後は「持続可能性」の観点から、防災や災害について深く学んでいこうと考えています。
 大学生活は学業も含めて「楽しい」の一言に尽きます。なにより学科の友人にとても恵まれており、環境デザイン学科に入学して本当に良かったと感じています。誤解を恐れずに言えば、環境デザインのテーマは、文系理系問わず、考え方次第で何でもあり、です。これが環境デザインの魅力だと思います。とにかく環境に興味がある、という高校生の皆さんは環境デザイン学科に来てください!